インドが教えてくれた、
直感を信じるということ。
20歳のとき、大きな人生の選択を迫られました。当時、私は九州の大学で国際関係の法律を学びながらアルバイトでモデルをやっていたのですが、ニューヨークに住んでいる家族からアメリカに来るように言われて。将来どんな仕事に就いて、どんな生き方をしたいのか、まだ先のことだと漠然と構えていた自分の「未来」について、急にリアルな決断を求められ、すごく悩みました。そんな状況を救ってくれたのが、初めて一人旅をしたインドでの経験。混沌とした街は、常に生と死が隣り合わせで、野生の勘を働かせていないとどんなトラブルに巻き込まれるか分からない緊張感がありました。“正解のない問題”が山積する世の中を生きる上で「自分の直感を信じること」の大切さを、身をもって学んだのです。それから迷うことなく、モデルとして東京でチャレンジしていこうと決めました。
アロマは、自分のなかの野性を
目覚めさせてくれるもの
東京も仕事も大好きですが、ずっと忙しくしていると野生の勘が鈍るというか、身体と心のバランスを崩すことがあります。そんなときは、海外に出てリフレッシュしたり、もっと身近で手軽な方法として、アロマテラピーを活用したりしています。私にとってアロマは、自然の生態系のループから少し外れちゃったな、と思ったときに、そこへ自分を引き戻してくれるもの。デジタル化した情報社会では、生活スピードは加速し、さまざまな選択肢があふれています。そうした環境のなかで、自分を見失わずに“野生”性を目覚めさせてくれるお守りみたいなもの……そういったアロマの使い方は、これからの時代にますます必要とされるんじゃないかなと思っています。
学べば学ぶほど、
植物への愛が強くなった
私は佐賀の大自然のなかで育ったので、自然の素晴らしさも、怖さも、感覚的には知っていました。両親が生物の研究をしていたこともあり、子どもの頃から家族で山に行き、植物を標本にしたり、野草をすり潰してラボのまねごとをしたりして遊んでいたんです。
東京に来てからアロマテラピーを学んでみると、今まで点で見ていたものが線でつながり、理解が深まった分、植物への愛がますます強くなった気がします。特に、アロマテラピーの礎を築いてきた医学者や植物学者について知れたことは、人間と植物の切っても切れない関係を実感することにつながりました。ひとりではたどり着けなかったアロマテラピーの魅力に触れることができたと思っています。
社会が、“自然とのつながり”を
求めているんだなと感じます
以前は、植物や宇宙の話をしても聞き流されていたのですが、最近は、「それ面白いから、コラボレーションしましょう」となることも多いです。あるモード系のファッション誌で“さまざまな分野のエキスパートに、植物のパワーに着目して話を聞く”というコラムのホストを務めていますが、そうした企画が成立するのも時代の流れだと思います。私がモデルという立場で、SNSなどで植物の魅力を発信すると、意外な分野の人たちからの反響も多くて。社会が、自然とのつながりを求めているんですね。仕事では、植物を軸としたプロデュース業が広がりつつあって、今後は植物のエッセンスを取り入れたホテルやリトリートのプロデュースなどにも関われたらなと思っています。アロマをエンターテイメントやファッション、アートの世界とクロスオーバーさせて、アカデミックな植物の知識をたくさんの人に伝えていきたいです。