「アロマのチカラを信じてみよう」
と思った瞬間
20代で「長靴下のピッピ」というミュージカルの主役をつとめたのですが、精神的にも体力的にもとてもハードな役だったんですね。そんなとき、ボイストレーニングの先生からユーカリの精油をすすめられて、ナチュラルなもので身体を整えるという方法がとても自分に合うなと感じ、体調管理にアロマを使うようになりました。その公演の最中、なんと足を傷めてしまったんですが、持ち歩いていたウインターグリーンという精油でセルフトリートメントしたら「どこ怪我したんだっけ?」というくらい痛みが消えて……病院にも行けないスケジュールだったので、この時は本当にアロマに助けられました。「アロマってすごい!」と実感しましたね。
きちんと学んだことで身に付いた、
自信と覚悟
「ピッピ」の一件がきっかけで、本格的にアロマを学びたくなり、アロマテラピー検定2級を受けました。それまでは自己流で楽しんでいただけでしたが、「検定に合格する」という目標を持って学べたことはすごく良かったです。努力が形になったことで自信につながったし、何より「これからアロマと向き合っていくんだ」という覚悟のようなものができました。勉強を進めるうちに、植物のどの部分がどういった力を与えてくれるのかを知り、花の命の一部を貰っているのだと気づかされて……しっかり学んで香りを使うことが、自然に対するマナーなんだと考えるようにもなりました。
アロマでモードを切り替える
さまざまな仕事や役割をこなす中で、私の場合はアロマがモードを切り替えてくれます。女優のお仕事では、女性らしい役の時はローズ、元気ではつらつとした役の時はゼラニウムや柑橘系、キリっとした女性を演じる時にはサンダルウッドなど、キャラクターに合ったアロマを選んで役作りに活かしています。また、歌手としてレコーディングを行うときは、ユーカリの香りを焚いて喉のコンディションと集中力を高めると、自然と「うまくいく」感覚が湧いてきます。ベッドで羊を数えるとよく眠れる、というように、「ユーカリがあればうまく歌える」という気持ちになれるんです。
アロマを学んだことで見えてきた、
島と自分の関係
幼い頃、母が故郷の青ヶ島(東京都)で作られたツバキ油でよく髪を結ってくれたのですが、仕事で疲れたときなどにこのツバキ油でヘッドマッサージをすると、あの頃の優しい思い出に浸れて、心が安らぎます。また、ツバキ油の香りを通して青ヶ島の豊かな自然のパワーを貰っているような気がしています。アロマを学んだことで植物の力を知り、私にとっては青ヶ島の自然と自分の関係を強く感じることにつながり、島の血が流れていることを誇らしく思うようになりました。青ヶ島の数え唄に、「棉椿はこの島の恋の花、末は油で愛される」という一節があり“若い頃は美しく咲いて、時を経たら油になって人の役に立つ”というツバキの一生を表していますが、私もツバキのように、10代の頃は明るく元気に周りを楽しませ、大人になった今は自分の声やアイデアを捧げることで人の役に立ちたい、と思っています。