女の子から憧れられる存在になりたい
昔から「女性が憧れる女性」になることを漠然と夢見ていて、モデルをやりながら歌や演技のレッスンを続けていました。あるときドラマのオーディションを受ける機会に恵まれて、その役には選ばれなかったのですが、「何とかこの子を使えないか」という話になり、脚本家の方がわざわざ私のために役を作ってくださったんです。それが女優としてのスタートでした。オーディションでは、聞かれるままに家族のこと、家が貧しかったので家計を助けたいということなどを話したのですが、「その話がとてもよかった」と後から聞いて……ありのままの自分が受け入れられたように感じて、うれしかったのを覚えています。以来、たくさんのドラマや映画に出演させていただいていますが、最近「高橋メアリージュンをイメージして脚本を書いた」というお話をいただくこともあり、心からありがたいなと思っています。
「役」と「自分」の間で、
バランスを取るために
芸能界は、本当にさまざまな人が才能をぶつけ合う刺激的なところで、そこにいるだけでエネルギーをもらいます。以前は人が集まるような場所は苦手だったのですが、女優をはじめてからは、演技のヒントとしてすべて吸収しようという気持ちもあり、外へ出て行くのが楽しくなりました。ちょっと奇抜な役やエキセントリックな人物を演じることも多く、普段の生活ではあり得ない言動を自分のものにするために葛藤することもあります。役作りで感情がかき乱される分、日常生活は出来るだけルーティーンをこなし、気持ちを安定させるように心がけています。食事・運動・睡眠を規則正しく取り入れて、朝と晩には瞑想。アロマを学び始めたのは、瞑想に香りを取り入れたいと思ったのがきっかけなんです。目を閉じると、自分の心や身体の声が押し寄せてきますが、アロマは絡まり合った感情をほどいて、穏やかな気分に導いてくれるような気がしています。
香りフェチな私の、特別な香り
香水やアロマのショップに入ると、一緒に行った友人が呆れてしまうほどずっと香りを嗅いでしまいます。それくらい香りが大好きなんです。自然が豊かなところで育ったためか、やっぱり天然の香りが好きですね。深呼吸すると「美味しい」って感じます。なかでも、ジャスミンは私にとって特別な香り。子どもの頃、母の故郷のフィリピンをよく訪れていましたが、教会の前でサンパギータという花が売られていたのを覚えています。フィリピンの国花であるサンパギータはジャスミンの一種なのですが、神様にお供えする花でもあるんですよ。今でもジャスミンの香りをかぐと、フィリピンの思い出や母の顔が浮かびます。神聖で、どこか懐かしくて、安心する香りなんです。
時間と空間、人と人をつなぐ“香り”
アロマテラピー検定の勉強をして、希少な精油が金と同じ価値を持つ時代があったと知りました。そんな精油がいまでも使われているって、不思議な気がしませんか?まだ行ったことのない国を旅行した友人には、「どんな匂いがした?」とよく聞きます。その香りから、知らない国の風景や暮らしが伝わる気がして。アロマを学んだことで、香りは時間や空間を超えるんだなと、その面白さに気づいたんです。
また、香りで手作りのプレゼントもできるようになりました。「あの人はいま勉強をがんばっているから、頭がスッキリする香りのミストを作ろう」とか、「あの子は彼氏募集中だからフェミニンな香りのバスソルト」とか考えながら精油を選んで、なぜこの香りなのかというストーリーを語れるのが、うれしいですね。香りを深く知ることで、大切な人ともっと近づけるような気がしています。