アロマとタッチングで、
心の距離が近づく
看護師として現在勤めているクリニックで、昨年から「訪問アロマテラピー」を立ち上げました。訪問診察でお世話になっている高齢者介護施設にお伺いして、アロマテラピーを試してもらい、良さを分かっていただけたら契約し、継続的に訪問しています。月に1回の契約だった方から、タッチングを気に入っていただき、「月2回来られる?」と声をかけられることもあります。訪問アロマテラピーを始めてから、私もタッチングの効果に改めて気づかされました。アロマを焚きながらトリートメントさせていただくと、身体に触るというよりも心に触っていると感じます。そうして対話をすると、患者さんと看護師という立場ではなく、人生の先輩・後輩として接することができます。ベッドのまわりに置いてある本などを見て「こんなことに興味があるんだな」と考えて次にお伺いするまでに勉強してきたり、戦争のこと、生い立ちのこと、死についてのお考えなどを聞かせていただくこともあります。そうした距離感でお話しできるのも、アロマとタッチングの効果なのかなと思います。
アロマテラピーのプロフェッショナル
として医療に関わるために
以前に勤めていた職場の上司がある時期元気をなくされて、少しでも力になれればとアロマテラピーを学び始めました。でも、勉強するうちに自分自身もアロマを必要としていたことに気づいたんです。当時は子どもも小さくて、いつも時間との戦いでしたし、仕事も忙しく、精神的・肉体的に疲労していたところにアロマが脳に刺激を与えてくれて、「ああ、いい香り!」とどんどん惹かれていきました。そうすると上を目指したくなって、本格的に勉強をするために職場をやめ、アロマテラピーインストラクターを取得しました。その後、ボランティアで病院や緩和ケア病棟に行き患者さんのケアに携わりましたが、看護師としてきちんとアロマテラピーの良さを患者さんに伝えるには、知識も経験もまだまだ足りないなと歯痒さを覚えました。アロマテラピーを自分のキャリアと結びつけて実用的に生かすためには、勉強を続けること、きちんと資格を取ってアロマテラピーのプロフェッショナルとして患者さんと関わることが必要だと実感したのです。こうしたプロセスを経て、今はアロマセラピストとして、そして看護師として医療の現場に復帰し、全人的なケアを行うことができるようになりました。
薬とは違う、
アロマテラピーの可能性を広めたい
医療従事者の方々に、もっとアロマテラピーを知っていただきたいと思っています。多くの病院では「アロマテラピーなんて」という考え方があります。実は私自身も、はじめは「薬に勝るものはない」と考えていて、どちらかというとアロマテラピーに関しては懐疑的でした。でも自分で学ぶ機会を得て、アロマテラピーのことを知れば知るほど、ホリスティックな考え方をもっと採り入れて、薬では治せない部分があるということに目を向けるべきだと思うようになりました。これからは、病院で働いている人たちへの勉強会や、講師として話す機会を作ることなどにも挑戦してみたいと思っています。